地下水流を辿って


 地下水流の音を聞いた
 それは
 小学校の前を歩いているときだった
 街まで出てしまうと
 もう聞こえなくなった

 僕は何か
 大切なことを忘れてしまったのかもしれない

 雑踏の協奏曲の中で
 クラクションが怒声を上げる
 横断歩道でカッコウが鳴く

 僕は何かを
 思い出そうとしているのかもしれない

 すり減った靴底の
 遥か地中奥深く
 血管のように走る水脈よ
 僕の足音が聞こえるか
 僕には聞こえる
 絶え間ない水の音が

 揺るぎないその流れを
 静かなその決意を
 僕の足元に
 響かせてくれ

 
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color 群青
on 2026/01/1